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北欧で見るジェンダーレストイレデザイン

ここがトイレに向かう階段とは ...おしゃれすぎ ‼

日本では今年、ジェンダーレストイレの導入が大きな注目を浴びました。そのニュースを耳にしたとき、「日本もやっと」と感じました。しかし、導入直後からの評判は芳しくなく、結果的には抗議の声が多く、廃止という結果に。

実際に訪れる前に廃止となったため画像での印象ですが、報道などで見る限り、従来のトイレとの顕著な違いは感じられませんでした。「ジェンダーレス」が強調されていたものの、実際のデザインや機能にその理念が具体的に反映されているようには見えませんでした。

「デザイン大国」北欧は、トイレデザインの分野でも世界の先駆けとなっています。数年前に北欧を訪れた際、新しく建てられた公共施設やリニューアルされた施設には既に共用のトイレが設置されており、「ジェンダーレス」とも大きくアピールすることなく、人々が自然に利用している様子を感じました。

ヘルシンキ中央図書館Oodi

新設されたヘルシンキ中央図書館のメイントイレは地下に位置しており、そのデザインは斬新でモダン。弊ウェブサイトでも使っていますが、トイレへと続く階段は螺旋型で、内部も明るく照らされています。

トイレとシンクの間には広めな距離があり、シンクの位置は向きがそれぞれ違っていて距離感もあります。異性に遭遇した少し驚きましたが、それは恐怖感ではなく、ちょっとした違和感でした。

スウェーデン国立美術館

ストックホルムの国立美術館は、訪ねた前年に大規模な改装をしたようです。古い建物の魅力を保ちつつ、モダンで洗練されたデザインが取り入れられていました。こちらもトイレは地下フロアに位置しており、そのフロアにはロッカーエリアも併設されています。中央に廊下、左右にトイレとロッカーに配置されて、扉は設けられておらず、ワンフロアのデザインとなっていました。

地下にあったロッカーの一群。歴史もわかる美術館だけにおしゃれです

このシンプルながらもデザイン性の高い空間は、機能的にも非常に優れていました。一つのエリアには3つの個室があり、これが4〜5セット並んでいました。各個室のドアは上下をしっかりと塞がれており、シンクも扉の数だけ設置。シンク間の距離は従来のものと変わらないものの、人々が交差することなく手を洗うことができます。照明はやや暗めで洞窟のような雰囲気がありますが、扉がないために密室感はなく、頻繁に人が通る通路であるため、異性が近くにいても違和感は少なかったです。

ちょっと穴倉感あるデザイン

SDGs 先進国でもある北欧をお手本に

訪れた北欧の施設は、広々とした空間で、利用者ごとの距離がしっかりと確保された設計となっていました。そのため、男女兼用のトイレでも安心して使用できると感じました。北欧諸国は「おしゃれな」デザインだけでなく、センシティブな場所にもデザインで違和感なく、スマートに解決しています。

どちらの施設も深夜も利用できるエンターテインメント施設ではなかったため、正確な比較にならないですが、大々的にジェンダーレストイレを採用するにあたってふさわしかったのか、という疑問が浮かびました。深夜営業の施設に設置するのには配慮が足りなかったのではないかという気がします。東京では多くの新しい施設の建設が進行中です。「ジェンダーレス」を作るなら、作る前に北欧の「トイレ巡り」を強くおすすめしたいです。

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